技術資料

ポリウレタン樹脂塗料のつやびけと白化について

技術資料030

1.まえがき

鋼構造物の塗装の目的は鋼材の保護(防食)にありますが、近年、周囲との環境調和が求められ美観(耐候性)に対する要求も高まっており、上塗塗料としてポリウレタン樹脂塗料が採用されるケースが増えています。しかし、ポリウレタン樹脂塗料は硬化乾燥が十分でない時に結露を受けると塗膜に白化現象を生じます。この原因と対策を説明します。

2.塗膜の白化現象の原因および防止対策と処置

■2-1白化の原因

ポリウレタン樹脂塗膜(以下塗膜と記す)の白化現象は、一般的には、塗装後、塗膜の乾燥過程で、水と接した場合に生じます。特に、冬季の屋外作業では、気温の低下による硬化反応の遅れや夕方から翌朝にかけて起こる放射冷却による塗装面の結露によって発生しやすくなります。この白化現象の原因はつぎのとおりです。

  1. 未硬化(未乾燥)の塗膜に水滴が付着すると、付着した水滴の表面張力や歪みのためにこの水滴に沿ってシワが生じたり、凹みが生じ表面が不均一な仕上がりとなる。
  2. 比較的大きな水滴や雨粒などでは、塗面にクレーター(いわゆる水跡)が生じ、不均一な塗膜表面になり、部分的なつやびけを生じる。水滴が小さい場合は、無数の小さなクレーターが塗膜表面全体に生じて、つやが全面的に消えて白っぽく見える。
  3. 硬化剤中のイソシアネートが水と反応し、反応物の生成により白っぽく見える。

なお、塗膜の白化程度は、塗料の組成(ポリオール樹脂、イソシアネート樹脂、顔料など)の違い、乾燥程度および環境条件、さらに水分との接触時間などによってかなり異なります。


■2-2白化の防止対策

塗膜の白化現象の防止対策には、前述したように、白化の直接原因となる水分との折衝を避ける施工や管理が必要です。具体的な例として次のようなものがあげられます。

  1. できる限り屋内で塗装を行う。
  2. 屋外で塗装する場合は、あらかじめその日の気象条件を把握し、降雨や結露などを受けないようにする。
  3. 特に冬季の屋外作業では気温の低下による硬化反応の遅れや夕方から翌朝にかけての結露が生じやすくこの影響を回避するために、塗装作業をできる限り早めに切り上げる。

■2-3白化の処置

通常、白化現象は塗膜のごく表層部のみの現象で、塗膜性能(防食性など)には大きな影響はなく、美観が要求されなければ特に処置の必要はありません。処置の必要な場合は、白化部を全面シンナー拭きやペーパー掛けなどの処理を行ってから上塗塗料を再塗装してください。

3.各種ポリウレタン樹脂塗料の乾燥条件と白化現象に関する実験

A 塗料の種類 A1:アクリルポリオール・イソシアネート硬化形ポリウレタン
B1:ポリエステルポリオール・イソシアネート硬化形ポリウレタン
B 乾燥時間 B1:1時間 B2:2時間 B3:4時間 B4:6時間 B5:12時間 B6:24時間
C 環境温度 C1:20℃ C2:5℃
D 上水噴霧時間 D1:3時間

注1)塗膜の色:白
注2)塗膜厚:30~40μm固定

4.試験方法

軟鋼板(サイズ70×150mm)にスプレー塗装にて膜厚30~40μmになるように塗装します。規定の時間で乾燥させて試験に供しました。試験方法は実際の結露状態に近づけるために上水噴霧試験を行っています。

5.試験結果

試験結果を表に示す。

環境
温度
塗料の種類 噴霧
時間
噴霧時間塗膜の乾燥時間(時間)
1 2 3 4 5 6
20℃ アリルポリオール/イソシアネート
硬化形ポリウレタン樹脂塗料
3
ポリエステルポリオール/イソシアネート
硬化形ポリウレタン樹脂塗料
3 × × ×
5℃ アクリルポリオール/イソシアネート
硬化形ポリウレタン樹脂塗料
3 ×
ポリエステルポリオール/イソシアネート
硬化形ポリウレタン樹脂塗料
3 × × × ×
注)評価基準
○:異状なし
△:つやびけ(半つや程度)および白化
×:著しい光沢びけ(3分つや以下)および白化

6.結果のまとめ

  1. 塗膜の乾燥が十分でないと水分の接触があると、つやびけや白化が生じる。
  2. つやびけや白化の程度は、環境温度が低い場合に著しい。

なお、上記の試験は、上水噴霧での代用試験であり、実際の降雨や結露で発生するつやびけや白化の塗膜状態とは異なることがあります。