PROJECT STORY PROJECT STORY

"Challenge the impossible
in JAPAN."
未知なる技術領域への挑戦

PROJECT MEMBER PROJECT MEMBER

R&D部門(基礎研究)森 健二

STORY STORY

塗料に使われるさまざまな基盤技術の研究から、次世代塗料や関連技術を開発している基礎研究部門。これまで培われた技術を応用し、新規ビジネスへの展開も模索する。研究者には“新たな価値を創造する”というミッションが課され、長期に渡る低汚染塗膜の研究の末、究極の塗膜開発への挑戦がスタートした。

不可能といわれた、
自動車への
“Easy to Clean塗料”

プロジェクト化のきっかけは、塗膜の雨スジ汚染性と雨滴挙動に関する研究が、日本塗装技術協会の研究発表優秀賞を獲得した7年前に遡ります。この研究で得た知見を、新たな製品開発に生かせないかという協議の末、自動車に付着した汚れが簡単に落とせる“Easy to Clean塗料の開発”というテーマが生まれました。背景にあるのは、カーシェアリングの普及に伴う、メンテナンスフリーな車の需要予測です。しかし将来を見据えた機能性塗料であるため、どのような機能がどれほど長期間維持する必要があるかなど機能目標を立てるのは容易ではありませんでした。

自動車や建築など屋外で使用される塗料の場合、地域ごとに異なった汚染と対峙することになります。「汚れ」といっても、場所や気候によっては雨の成分も変わるため、汚染性の評価だけでも非常に体力を必要とします。状況はまさに暗中模索でした。さらに工業製品ゆえの課題もありました。塗料を何層にも塗り重ねる自動車用途では、Easy to Clean塗料を使用すれば、次の塗料を塗装できなくなってしまいます。また塗膜欠陥が増大するリスクも増大します。それら多くの課題から自動車業界では今まで非現実的といわれており、競合メーカーが同様の研究を始めているという情報もありましたが、いずれも製品化には至っておりません。

だからこそ、私たちが最初にホンモノを作りたい。プロジェクトメンバーと議論を重ね、ハードルが高くても挑戦する価値はあると判断し、この挑戦を楽しむことにしたのです。

市場は見つけるのではなく、
作るもの

業務は、仮説立てから実験・検証後、結果をフィードバックし、また新たな仮説を立てる……という基本作業が延々と続きます。理想に近い塗料を設計できたと思っていた矢先、本来の機能が発揮しなくなることが頻発しました。塗料には十数種類の材料が配合され、さらに複層で塗り重ねられるため、原因究明には工数を要します。自動車メーカーへの提出期限が迫る中、私の思い込みを打破する先輩からのアドバイスによって解決の糸口を見つけることができ、なんとか事なきを得ました。

結果的にはこれが製品力を上げるきっかけになり、現時点では開発品は既存品と比較して大きく性能が向上しています。まだ道半ばですがメンバーとともに日々研究を進めているところです。また国内外のメンテナンスフリー市場動向を把握するため、自ら展示会に出展し、お客様の生の声を集めたり、現地欧州自動車メーカーに出向いてこちらの技術力をアピールすることもしています。全く新たな取り組みゆえ、市場は見つけるのではなく、作るのだという思いを大切にしています。汚れなきクリーンな社会の実現を信じ、覚悟を持って最後までやり遂げようと思います。