海塩粒子付着量の簡易測定法について
技術資料0071.測定用器具
- 脱イオン水(または蒸留水):1個所の測定に150cc必要です。
- 局方ガーゼ:30×30cm 3枚/1個所
- ゴム手袋:薄手・炊事用・手術用
- マスキングテープ(幅20mm程度)または、マグネットシート
- メジャー
- ポリビーカー:250ml
- 北川式 塩素イオン検知管(Cl-)
2.試料採取方法
- 測定部をメジャーにて0.25m2(例50×50cm)を正確に測り、マスキングテープにて仕切ってください。(または、マグネットシートを用いる。)
- ゴム手袋をしてください。
- 脱イオン水100mlを250mlポリビーカーに入れてください。[50mlは(7)で使用するので別にする。]
- ガーゼを適当にたたんでポリビーカーの水で湿らせてください。
- 湿らせたガーゼで測定面を外にはみ出さないように平行方向に拭います。この時、水をたらさないように十分に注意してください。
- ガーゼをポリビーカー内の脱イオン水でよくすすぎ、拭う方向を変えて(5)、(6)の操作を繰り返し行ってください。
- 採取後、使用したゴム手袋の表面を残りの50mlの脱イオン水でよく洗い、150mlとしてください。
3.測定方法
- 検知管の両端(a・b)をヤスリで切り取り、図1のように試料液の中に検知管の一端(a)を入れます。試料液は下端(a)より次第に進入し上端にいたります。
- 試料液中に塩素イオンがあれば、下端より白色の変色層ができます。液がガラス管内の検知剤の上端(綿栓)まで浸透したら、検知管を取り出し、図2のように検知管の濃度目盛りと変色層の境界で読み、測定値とします。(塩素があれば、着色層が茶色→白になります
- 注1)
- 2000ppm以上の濃度のときは蒸留水で正確な倍率に薄めて測定を行い、濃度を読みとってください。
- 注2)
- 測定する時の浸漬する試料の深さ、検知管の試料液への侵入角度などによる影響は全くありません。
- 注3)
- 試料がほこりなどで汚濁していると十分に浸透しないことがあります。この場合は濾過した後に検知管で測定してください。
4.塩素イオン温度と塩分の関係
塩素イオン濃度([Cl-]ppm)と塩分([NaCl]mg/m2)との関係式は(1)式で表されます。
N=L×C×[NaCl]Cl×1M・・・(1)
ここで、
N | :塩分量NaCl | [mg/m2] |
L | :脱イオン水使用量 | [L] |
C | :塩素イオン濃度Cl- | [ppm] |
NaCl | :塩化ナトリウムの分子量 | 58.5 |
Cl | :塩素の分子量 | 35.5 |
M | :塩分採取面積 | [m2] |
脱イオン水0.15[L]、塩分採取面積0.25m2、分子量を代入すると
N=0.15×C×58.535.5×10.25
すなわち、本測定法によれば100ppmの塩素イオン濃度がでれば、これがそのまま塩分の濃度(100mg/m2)の数値になります。
5.検知管
検知管内の充填物は重クロム酸銀[Ag2Cr2O7]であり、これが塩分[NaCl]との反応により白色化することを利用したものです。
2NaCl+Ag2Cr2O7→2AgCl+Na2Cr2O7
AgCl・・・・・白色沈殿物で水に溶解しない。
6.関連資料
本測定方法について以下の資料にも具体的な説明が記載されているので参照ください。
- 鋼道路橋塗装・防食便覧(平成17年12月):社団法人 日本道路協会
- 鋼構造物塗膜調査マニュアル(JSS IV 03-2006):社団法人 日本鋼構造協会
- 鋼橋の付着塩分管理マニュアル(2001年3月):社団法人 日本橋梁建設協会