塗付量と塗膜厚の理論計算式
技術資料017塗付量から塗膜厚を理論的に計算して求めることは容易で、下式で示されます。
y=x(1dt - 100-NV100×ds)
z=xdt
x:塗付量[g/m2]
y:乾燥膜厚の厚さ[μm]
z:ウエット膜厚[μm]
dt:塗料の比重[g/cm3]
NV:塗料の不揮発分[wt%]
ds:揮発分の比重[g/cm3](主として塗料内の溶剤分の比重)
- 平滑な被塗面に塗装されていること。
- 塗膜面にばらつきがなく、平滑な塗り面であること。
- 塗膜構成分の膜厚内での分布が均一で、しかも揮発分が揮発したあと空孔が残らないこと。
- 膜厚測定時、へこみがないこと。
- 塗料の飛散や落下、容器、塗装機の内部や塗装用具への塗料の残存などのロスが全くないこと。
などで、実際の塗装を考えると、ばらつきをもたらす幾つかの避けられない問題があります。
すなわち、
- 被塗面の粗度はサンドブラストで30~50μmRz、ショットブラストで50~70μmRzである。
- 場所により膜厚のばらつきは必ずあり、塗面も平滑ではない。
- 塗装時のロスが大きい。例えば風速3m/秒の条件で、30cmの距離から塗装したとき、ロスは35%といわれている。
- 容器内、塗装機、ホース内などに塗料が残る。
- 押圧式の膜厚測定器の膜厚では、測定時の膜厚のへこみが必ずある、など。
このような理由から、所定の膜厚を得るために必要な、または準備しなくてはならない塗料の量を決めることはきわめて難しいことであって、工事ごとに変わるといって過言ではありません。諸官公庁では過去の工事実績により塗付量と乾燥膜厚の関係を明記して、混乱を回避しています。