2024.11.07
製品・技術

北陸新幹線 芦原温泉駅西口賑わい施設 アフレアの魅力

                                                  撮影エスエス北陸

 

北陸新幹線の延伸とともに誕生したアフレア

 

2024年3月、北陸新幹線は福井県敦賀市まで延伸しました。
それに伴い新たに「小松駅」「加賀温泉駅」「芦原温泉駅」「福井駅」「越前たけふ駅」「敦賀駅」の6駅が開業。
その内、小松駅を除く5つの駅で関西ペイントの塗料が採用されています。
今回は、当社の耐火用塗料「耐火テクト」を使用した、あわら温泉の新しいランドマークである芦原温泉駅西口賑わい施設「アフレア」についてご紹介します。

あわら温泉について

 

あわら温泉は福井県北部に位置し、自然豊かで四季折々の魅力がある温泉街です。
最初の源泉は農民が井戸を掘削中に発見したとされ、それから140年以上の歴史をもちます。
昭和2年には「日本百景」のうちのひとつに選出され、現在では関西の奥座敷と呼ばれている日本有数の温泉街です。

芦原温泉駅・アフレアの開業

 

そのような歴史あるあわらの地に新たに開業した「芦原温泉駅」。
『あわらの大地に湧き出る(いでる)贅(ぜい)の駅』というコンセプトのもとに建設されました。
そして駅の西口には、駅の利用者だけでなく、地元の方々のつどいの場所となる「アフレア」が建てられました。

  • 建物全体に木の温もりが感じられる「アフレア」。一般的な一本柱ではなく、木々が天井に向かって大きく伸び広がっている特徴的なデザインで、つい天井まで見上げてしまう迫力と不思議な魅力があります。
    今回は、設計を担当されました株式会社木下設計の代表取締役社長木下さま、設計部課長片山さまにお話をお伺いしました。

     

                       撮影エスエス北陸

  • Q, アフレア設計にあたってのコンセプトはありましたか。」

     

    木下さま:以前の駅周辺は閑散としていました。あわら温泉に来てくださる観光客の方が駅を出てすぐに目にする空間が寂れたシャッター街であり、このままではあわら温泉の魅力に期待を持っていただけないのではと不安を感じました。
    アフレアに立ち寄っていただくことで、訪れた人には、あわら温泉の街に期待をもってもらえるような、温泉街らしさを感じてもらい、
    地元の方々には、人が集まりやすく、明るくて賑やかな場所にしたいと思いました。
    私の中では当初から、温泉の源泉から「お湯が溢れる」というイメージを何とか形にしたいという思いがありました。「溢れる」という言葉にはものすごい力が宿っているんです。「お湯が溢れて、人が溢れて、賑わいが溢れて、幸せが溢れる」と。私がこの場所で叶えたいことがこの言葉にすべて集約されていました。
    そこで、「お湯が溢れる」というイメージを必ず具現化したく、「溢れる」がコンセプトとなりました。 

     

                               

    • Q, 「コンセプトを実現するためのこだわり、難しかった点はどこでしょうか。」

       

      木下さま:源泉が湧き出ているような造形を柱で表現したいと思いました。シルエットで温泉らしさを出したかったんです。ここは特にこだわりました。

      片山さま:形状が複雑ですから、正直すべてが難しかったです(笑)特に源泉から湧き出るお湯の広がり方を柱でどう表現するのが良いか、とても悩みました。いろいろ議論した結果、天井まで広がっているのが良いよねとなり、格子の形になりました。またその広がりが外からも見えるようにガラス張りにしました。

                          撮影エスエス北陸

    • 木下さま:また、「人が溢れて、賑わいが溢れる」ための工夫もあります。ゆったりと過ごしていただけるよう、無垢の木材を使用し、天井を高くして開放的な雰囲気にしました。芦原温泉駅に降り立った方々が広場に降りて来やすいように視認性も高くしています。

      片山さま:アフレアに使われている木材の8割があわら市産杉材です。木材の方が柔らかい空間になりゆっくりできる感じになりますし、地元林業の振興に貢献したいという想いもあり、あわら市の木材を使いました。

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      株式会社木下設計 代表取締役社長 木下さま

                      

                 株式会社木下設計 設計部課長片山さま

    • Q, 「印象的な柱に耐火塗料を使った経緯を教えてください。」

       

      片山さま:木造としたかったのですが、この建物は耐火建築物としなければなりません。耐火性をもたせるには周りを石膏ボードで囲ってそこに木を貼ってと、段々柱が太くなってしまいます。
      構造体は鉄骨じゃないといけない、でも木は使いたいと。
      なので今回は鉄の柱の上から薄膜で仕上がる耐火塗料を塗り、芦原産の木(もく)を張ることにしました。

      木下さま:耐火性のために鉄の柱を石膏ボードで囲ってクロスを張るのは、鉄の柱自体を隠してしまうので本質的でないじゃないですか。なので鉄の柱を鉄として出すのであれば耐火塗料しかないんです。耐火建築物は本来、集成材などの不燃の木じゃないといけないんですが、それを外したくて、避難安全検証法っていう別の法律を使って無垢の木材をそのまま使えるようにしました。

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      イメージ図

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      実際の柱

       

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      片山さま:あわら市から、夜間にライトアップしてほしいという要望がありました。ぼんぼりのように優しく灯るイメージにしたく、そうするには柱の表面に凸凹がなく影ができないような耐火塗料が必要でした。様々な製品を検討した結果、関西ペイントの「耐火テクト」を選択しました。

      木下さま:「耐火テクト」のおかげで良い意味で柱の存在感を消してくれたのはありがたかったです。

       

                                     

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                          撮影エスエス北陸

  • Q,「完成して半年たった感想を教えてください。」

     

    片山さま: 以前は地元の方々や学生が集えるような場所はありませんでしたが、アフレアができたことで、今では平日夕方になるとたくさん学生が来ていますし、週末のイベントには多くの方が集まってくれています。地域のためにも造った施設なので、とても嬉しいです。
    今後はアフレアを起点として、あわら温泉全体にもが集まり、活気ある場所になってくれればと思います。
    木下さま: 建築物に木材を使いたくてもコスト面で出来ないこともいっぱいあるんですが、木目調の壁紙などを使わずに、
    本物の木材で表現できたのは、よくここまでやってこられたなと感慨深く思いましたね。
    芦原温泉駅やアフレアには新幹線開業という一過性の賑わいではなく、いつまでも訪れていただける、賑わいのある街になってほしいですね。

  • 火から建築物を護る当社塗料『耐火テクト』

     

    アフレアで使用された「耐火テクト」は薄い塗膜形成で、空間設計を邪魔することなく耐火性を持たせることができるため、
    意匠性の高い建物などに多く使用されています。
    このように彩るだけでなく様々な機能を持った塗料が私たちの身近に存在しているのです!

  • 最後に

     

    実際に現地を訪れてみると、写真で見るよりも遥かに迫力と解放感、そして木の温もりを感じました。

    細部にもこだわりを感じつい見とれるようなゆったりとした時間が流れており、日中と夜間の違う表情も見たい、

    もう一度訪れてみたいと思う魅力に溢れていました。
    現在も週末には良くイベントが行われており、地元の方々で賑わっているそうです。
    芦原温泉駅を利用される際は温泉に癒される目的だけでなく、ぜひ幻想的かつ温もりのあるアフレアに立ち寄って非日常を感じてみてください。

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