- 2021.03.18
- 製品・技術
濡れたプラント設備にそのまま塗装できる塗料「ウルティモ」
1. 濡れている設備の腐食課題
プラント設備は、その特性や設置している環境によって、さまざまな環境負荷がかかっています。
特に、低温のガスが通る配管や気化器、海水を導入する復水器、空調機器を支える架台、貯水施設の付属物など、絶えず水分の影響を受けている設備は意外と散見されます。
それにも関わらず、的確な防食方法が少ないことから、腐食がすすんでも放置せざるを得ない、若しくは次回の大規模修繕や定期点検時に設備の運転を止めて、設備が乾燥できるタイミングまで待たざるを得ないケースが多くあります。
また、降雨後に無理やり塗装したために、濡れムラが出来たり、塗装後たった一ヶ月でサビが出てきたりというケースも困り事としてお聞きします。
このような状況が想定される場合、 次のような課題があるのではないでしょうか?
プラント設備: 湿潤環境阻止のための、設備停止。
商業ビル屋上空調回りなどの建築鉄骨: 完全養生や強制的な乾燥。
洋上構造物、山間部などの湿潤した土留め鉄骨: 大規模養生や水洗後の養生時間
結露水等による比較的薄い水膜下は、単純に没水している箇所よりも酸素の供給がスムーズとなるために、実際の腐食環境としては2~10倍程度の厳しさとされます。
参考データ:ロシアの科学者トマショフは、腐食速度は水膜厚さの影響を受け、1μm程度のとき最も厳しいと予測した(上図1966年)。
2.湿潤面に直接塗装できる「ウルティモ」
腐食対策での「塗装」は、簡便かつ長期的に耐久できる、コスト面でも最も優れた工法の一つです。
しかし、塗料は濡れた面に対しては密着しなかったり、水を巻き込んで剥がれたり割れたり錆びたりと、濡れている箇所にそのまま補修できる簡便な材料や工法は少ないのが現状でした。
そのため、メンテナンスの際は乾燥させることが大前提となっていましたが、乾燥させるためには設備の停止が余儀なくされました。しかも、場合によっては乾燥するまでに3~4日かかることもあります。
できれば運転中や供用中でも補修したいシーンは多くあると思われますが、実際には難しい状況でした。
そんな課題を克服したのが、湿潤面用防食塗料「ウルティモ」です。
結露で濡れた配管に直接「ウルティモ」を塗装
結露で濡れた配管のフランジにも、無理なく塗装できる。
ウルティモは、塗料に超疎水性能を付与することで、表面にある水分を押し出しながら硬化していくので、通常の乾燥している表面に塗装する場合に近い状態で、刷毛塗りやローラー塗装が可能となります。
また、水分と接触しても塗膜が剥がれたり割れたりせず、強固な膜を形成するので、塗装後には優れた遮断性を発揮し、長期の防錆力を実現します。
3.「ウルティモ」の導入事例・試験塗装結果
■ プラント構内の事例
兵庫県にある化学プラントの結露配管にて、湿潤面用塗料ウルティモの試験塗装を行いました。
一般的な変性エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚250μmとなるよう塗装を試みましたが、写真のようにうまく塗り広げることが困難でありかなり労を要しました。
一方、同様の条件においてウルティモは一様に塗り広げる事ができました。
この設備を約6ヵ月放置したところ、一般的な変性エポキシ樹脂塗料ではさびが多く発生しています。これは、塗料中に巻き込まれた水分がさびを促進させ、さらには塗料が膜にならなかった部分が散在したため、外部との遮断性能にばらつきが生じたためさびが発生したものと考えられます。
一方、ウルティモは安定した防錆力を発揮し、塗布した時のように綺麗な状態を保持しています。
一般的な変性エポキシ樹脂塗料
ウルティモ