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PROJECT STORY

かつてない究極の
自動車用シルバー実現へ

OUTLINE

車が誕生して以来、人々がより美しいマイカーを求める欲求は絶えず存在する。各自動車メーカーは独自の輝きを放つ見た目と色を目指し、常にしのぎを削っているのだ。それを実現する世の中初の塗料開発に関西ペイントの精鋭たちが挑んだ。

Profile

プロフィール01
M.I

研究開発部門 技術開発本部
2007年入社
基礎工学研究科 材料工学専攻 修了

プロフィール01
N.S

研究開発部門 技術開発本部
1999年入社

プロフィール01
T.N

グローバル自動車事業部門 技術統括部
2012年入社
理工学研究科 応用化学専攻 修了

プロフィール01
K.M

グローバル自動車事業部門 海外JV統括部
2014年入社
経済学部 卒

STORY 01

異例づくめで始まった
共同開発プロジェクト

 自動車の外装用塗料には、トレンドに左右されることのない金属調や宝石調、ツヤ消しなどの意匠ニーズが常にある。関西ペイントはそれらに対する基礎研究を絶え間なく続けており、平塚開発センターに勤務していたM.Iも日々、新たな色材や金属調意匠の開発に取り組んでいた。そんな中で2016年、顧客である大手自動車メーカーへ新製品を開発し提案する大きなプロジェクトが始まった。自動車生産ラインで行う塗装品質の刷新を考えていたお客様との、これまでにない新規塗料の共同開発だった。求められたのは、極めて格調高いデザイン性を表し、環境への影響度が少なく、既存のライン設備を使って生産性を落とさず塗装できる金属調シルバーだ。関西ペイントは溶剤系塗料で先行して金属調意匠を達成していたが、それでは当然環境に負荷がかかる上、お客様の塗装工程も複雑化してしまうことが間もなく判明した。一方、環境にやさしい水性塗料は、既知の技術ではお客様の要望に沿う高度な意匠が表現できないこともわかった。
 「かつてない意匠と高機能・高生産性を実現するまったく新しい水性塗料が必要となり、材質、塗料組成、塗装工法などあらゆる面で未知の領域への挑戦になりました。しかも、通常は塗料の開発から設計、生産フォローを分業して進めるのですが、今回はお客様の意向もあってそのすべてを同時進行で、一局体制で行わねばならなかったのです。それまで研究所にいた私はお客様と折衝しながら開発するのは初めてでしたし、即座にお客様先に近い部署への転勤も決まって、これは大変なことになったと冷や汗が吹き出しました」と、M.Iはプロジェクトスタート時の心境を話す。

STORY 02

月光の影のごとき
高級感ある色を目指して奮闘

 開発の主眼となったこれまでにない意匠とはどんなものだろうか。プロジェクト開始当初からお客様への営業を担当するK.Mが、その色調と開発の背景について具体的に説明する。
 「M.Iさんとともにお客様のニーズを精査・協議し開発目標に至ったのは、海面上に映る月明かりをコンセプトにした神秘的な色合いを持つ金属調シルバーです。
 月光の影のようにシックに輝く金属調シルバーを実現するには、通常の塗装層よりもはるかに薄い塗膜を作って微細なアルミ粒子を均一に並べる新技術が要求された。同技術の追究に一心不乱に取り組み始めたM.Iのもとに、同じ技術開発本部の仲間で塗料の設計に長じていたN.Sが加わった。
 「通常の自動車塗装では厚さ15ミクロンほどの膜に色を付けたものを塗るのですが、本プロジェクトでは最高度の意匠を得るために関西ペイントが持つオリジナル工法をレベルアップさせ、1ミクロンの極薄にすることを目指しました。そうすることによってアルミの無粒子感と本物の金属のような表面光沢を可能にできるからです」とN.S。

 それから二人の、幾度にわたる試作品の開発と失敗を繰り返す苦闘の日々が始まった。高難度な開発にお客様からいつストップがかかってもおかしくないような戦々恐々たる時が流れること約3年。とうとう二人は新塗料の確かな基本設計とプロトタイプの完成に到達した。そしてそれを最終製品に仕上げるべく、新たにプロジェクトに参加したのが技術統括部のT.Nである。
 「私の役割は、お二人が苦心して作り上げたプロトタイプを量産段階で不具合なく安定して製造できる製品に落とし込むことでした。ところが従来の自動車用塗料とは別次元の設計だったゆえに、実際の材質で試してみると塗料の製造現場や塗装ラインの事前検討において未体験の不具合が頻発。原材料メーカーやお客様とさまざまな議論を重ね、M.Iさん、 N.Sさんと一緒に課題を一つひとつ克服していきました」とT.Nも後工程での開発の難しさを語る。

STORY 03

限界なき関西ペイントの
技術開発力を証明



 こうして2020年、ついに超金属調シルバーを搭載したお客様のハイグレード車種が誕生した。前代未聞の金属質感と肌質を持つその美しいボディカラーは、車両のカラーデザインを評価する国内の顕彰制度や自動車塗装技術の国際会議でグランプリを受賞。新色塗料に関してはお客様からの技術開発優秀賞も獲得した。
 苦節5年に至ったプロジェクトの最初から最後までに携わったM.Iに、その成果と新塗料の展望について聞いた。
 「社内的には水性塗料でも高意匠を達成できる新しい技術を生み出せましたし、社外的には関西ペイントの技術力を世界に向けて発信できたと思います。開発の主軸はたまたま私が担いましたが、K.MさんやN.Sさん、T.Nさんをはじめ社内の多くの部門の関係者の協力を得たこと、さらにお客様との密接な連携があって実現できたことをしみじみと感じています。このプロジェクトで確立できた新しい塗料の作り方や塗装システムは他の自動車メーカーのオリジナル意匠にも活かせるので、現在はその開発提案に取り組んでいる最中。今後は皆さんがこれまで見たことのなかった色と質感の車を見る機会も増えていくと思いますよ」
 そう話すM.Iの目は、いつの日か世界中の自動車を関西ペイントの独自色であふれさせようという野望に輝いているように見えた。