経営課題の解決に
不可欠だった人事施策改革
“Good to Great”をスローガンにスタートした3年間の新中期経営計画で、大胆な人事施策の改革に着手されました。その背景について教えていただけますか。
現在の中期経営計画が始まるまでの数年間、当社は海外ビジネスの拡大路線に力を入れていました。結果としてグローバルな売上高は伸びていきましたが、利益率は逆に縮小傾向が見られるようになりました。これは売上拡大に併せて実施すべき経営基盤の整備が不足していたことが主な原因であり、17中計では戦略・ガバナンス・人財など経営基盤の強化を推進しています。国内においては社員の高齢化や管理職比率の肥大化といった組織構成上の課題が徐々に顕著になり始めており、そのような状況も踏まえて大きな危機感を抱いた社長が「ビジネスには人財が何より大事」という考え方を一層重視され、人事施策を広く見直すことになりました。
改革は人事・労務・教育など幅広い制度に及ぶと思いますが、どのような領域から開始されたのでしょうか。
最初に改革の焦点を置いたのは社員の評価・報酬・等級制度で、経営基幹職の人事制度の刷新から取り組み始めました。約20年ぶりの大幅な制度改革ということもあり、社員系列の上層部から順に下層へ広げていこうという計画です。制度改革と人財育成をスピード感をもって実施するため、新しく人財開発部を立ち上げて専門に進めていくことも決定し、H・KさんとA・Kさんが主体的に担当しています。
H・Kさんは今回人事担当になるまで、長く開発と技術一筋で務めておられたそうですね。なぜ制度改革の推進メンバーに選ばれたのですか?
私は人事に関してはまったくの門外漢でしたが、20年以上の開発や技術の経験で培った、新製品をゼロから作り上げるための課題を着実に解決してゆく経験やノウハウを人事施策の推進に活かすことを期待されました。もう一つは、人事を含む管理部門に新しい風を吹き込む面もあったと思います。変革の一旗手たれと送り出されたのではないでしょうか。